今回は趣向を変えて、有明海に浮かぶ人工島「三池島」🐱2010(H22)年11月恒例の産業遺産一斉公開にて、三池港桟橋からの三池島クルージングに乗船しました。写真はいずれも船上からのスナップです。
三池島は大牟田市の沖合5.5キロほどの有明海上に位置します。以下、文献(*1)より位置図を引用します。三池炭鉱は有明海海底を北西方向に坑道を延ばしていましたが、その途上に位置していたことが分かります。なお、この図は有明鉱区の開発前です。
「第3人工島位置図」文献(*1)より引用
1969(S44)年7月、三池炭鉱の第3人工島として築島工事が開始され、1970(S45)年9月に完工。すぐさま同年より立坑の開鑿に着手し、1973(S48)年5月に深さ520mにて完工しています。三池島立坑は海底坑道の換気を目的とした立坑のひとつで、さきに1951(S26)年に完成していた初島立坑(第1人工島)を排気、三池島立坑を入気坑としました。立坑は-380mにて宮浦坑、-450mにて三川坑、-520mにて四山坑の坑道に接続し、坑内環境の改善が計られました。
クルーズ船が三池島に近づきました。14時頃の乗船なので、三池島に日が当たっているのが西側だと思います。この日はベタ凪だったので、海上という感覚が無くなりそうでしたが、このあたりで水深は10Mあるそうです。三池島は直径92Mの真円形をしており、周囲はコンクリートと鋼矢板で囲まれています。地上に構造物は残っておらず、坑口も塞がれてコインのような平たい島ですが、空気抜きの鉄管が立坑の位置を示しているとのことでした。
船上からは地上の様子はよく見えませんでしたが、三池島に上陸したリポートがありましたので、参考までにリンクを張っておきます。
『大牟田の近代化遺産』より「人工島三池島」
今では、絶滅危惧二類に指定されているベニアジサシ(紅鯵刺)の繁殖が確認されるなど、野鳥の楽園となっています。炭鉱閉山後、三井鉱山からは無償譲渡の申し出があったとされますが、大牟田市は受諾していません。
(文献*1) 美川章「三井三池鉱業所第3人工島(三池島)の築島工事の実績報告と当島からの通気専用立坑掘さく工事の計画概要について」『日本鉱業会誌』1971-11