マイコレクションから今回は三池港の古絵葉書🐱
米国船DIX号へ、船渠岸壁の”三池式快速船積機(ダンクロ・ローダー)”による石炭積込の光景になりますが、組写真として2枚を並べてみました。
「三井三池米国御用船ヂックス載炭 LOADING OF COAL AMERICAN STEAMERSHIP AT MIIKE(山田商店製)」と、「三井三池港米国御用船ヂックス載炭 COALING THE U.S.A. TRANSPORT"DIX" AT PORT MIIKE(津村写YS)」です。後者も"YS"とあることから、山田商店の発行と思われます。
ただ、DIX号は2度来航(*1)(*2)していますので、これら絵葉書が同時に撮られたものなのか確証はありません。何となくですが、歓迎の雰囲気から最初の入港(1917(T6)年)の時という気がします。物見遊山の老若男女が出向いていますが、子守りの女性や頬かむりの男性など、近隣からチョッと見に来たといった長閑な風情。
絵葉書中央に見える船積機(ダンクロ・ローダー)については別途取り上げる機会がありますので、詳細は後日に改めて。石炭船積のフローとしては、石炭卸し線からの石炭はバケットに落とされ、そのバケットが船積機のガイドを上下することによって、シュートを通じて船積されます(このような船積機の構造をスキップホイストといいます)。1枚目の絵葉書では、ちょうどバケットがシュート位置まで牽き上げられたシーンになります。
数多い船渠岸壁の絵葉書として、ほかに見られない珍しい光景と思えるのは、2枚とも石炭卸し線に蒸気機関車(サドルタンク機のようです)が使われていることです。荷卸し線は電化されており、本来は15トン電車の持ち場です。電動化されている船積機とともに”オール電化”が売りの船渠岸壁ですので、坑口から直接到着した石炭列車かも知れません。
せっかくなので、DIX号について。
DIX号の船首には"U.S.ARMY TRANSPORT DIX"とあります。「米国陸軍輸送隊 DIX号」となるでしょうか。これで検索を掛けると、いくつかの画像とデータがヒットします。以下、Wikimedia Commonsより船歴を簡単に引用しておきます。
1892年 Samoa号(排水量7200トン)として英国にて竣工
1900年米国需品局が購入、陸軍輸送隊に配属
1901年DIX号に改名
1922年売却、Grace Dollarに改名
1928年神戸にて廃船
ちなみに船尾に書かれているのは"QUATERMASTER DEPARTMENT”と思われ 、これは所属部署の「アメリカ陸軍需品科」になります。
(*1)『年表と写真でみる大牟田市の100年』(2017大牟田市市史編さん委員会)によれば、1917(T6)年6月、および1923(T12)年12月に入港とあります。
(*2)『海商通報』(海商社1909(M42)年7月)には次の記事が見られます。「米国御用船の三池港寄港に就いて/来る8月米国御用船ヂツリス号が、長崎に寄港することなく三池港に於いて石炭を搭載することは既に確定せし所なるが、さらに聴く所によれば日本に於ける米国御用船燃料石炭受負事業は過日の競争入札に於いて三井物産会社の手に帰したるより、今後米国御用船は長崎に寄港することなく、十中の八九は多分三池に寄港し同所に於いて三池炭を搭載するに至る」。”ヂツリス号”はDIX号のカタカナ読みのようにも思えますが、そうなると寄港年はずっと早くなります。
(*2)『海商通報』(海商社1909(M42)年7月)には次の記事が見られます。「米国御用船の三池港寄港に就いて/来る8月米国御用船ヂツリス号が、長崎に寄港することなく三池港に於いて石炭を搭載することは既に確定せし所なるが、さらに聴く所によれば日本に於ける米国御用船燃料石炭受負事業は過日の競争入札に於いて三井物産会社の手に帰したるより、今後米国御用船は長崎に寄港することなく、十中の八九は多分三池に寄港し同所に於いて三池炭を搭載するに至る」。”ヂツリス号”はDIX号のカタカナ読みのようにも思えますが、そうなると寄港年はずっと早くなります。
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